こんにちは!あお(@aonorecipe)です。
ゼリーや水羊羹など、冷たいお菓子作りに主に使われるのが、ゼラチンと寒天とアガー。冷やして固める、という共通点がありますが、その3つの違いって何だかわかりますか?
今回は似ているようで全く違う、ゼラチンと寒天、アガーの違いをご紹介します!
3つの特徴や違い、使用する際の注意点などを明確にする事で、作りたいお菓子に合わせた使い分けが可能になるので、知っておいて損は無しですよ。
また、それぞれの材料で作ったゼリーは冷凍出来る?それぞれ代用は可能?思った方の為に、実際に冷凍解凍してみた結果&代用可能かどうかについても合わせてご紹介しますね~。
2021/6/30 記事内容を修正・加筆致しました。
【寒天とゼラチン・アガーの違いとは】特徴や使い方&冷凍解凍したらどうなるか検証!代用出来る?
寒天とゼラチン・アガーの違い①【成分表示】
参考
今回は参考例として、粉ゼラチンはマルハニチロのゼライス、粉寒天はかんてんぱぱの寒天クック、アガーは共立食品のアガーを比較対象としました。
ゼラチンの成分表示(5g当たり)
- エネルギー18kcal
- たんぱく質4.6g
- 脂質0g
- 炭水化物0g
- 食塩相当量0g
寒天の成分表示(4g当たり)
- エネルギー0kcal
- たんぱく質0g
- 脂質0g
- 炭水化物3.1g(糖質0g/食物繊維3.1g)
- 食塩相当量0.0051~0.05g
共立食品アガーの成分表示(5gあたり)
- エネルギー16kcal
- たんぱく質0g
- 脂質0g
- 炭水化物4.6g
- 食塩相当量0.04g
上記成分表示の違いの差をまとめると、
- ゼラチンの特徴はたんぱく質が含まれている
- 寒天は、カロリーゼロ!たんぱく質は含まれていないが、炭水化物が含まれている
- アガーは、たんぱく質は含まれていないが、炭水化物が含まれている
では、その違いは何から由来しているものなのでしょうか?
寒天とゼラチン・アガーの違い②【原材料】
ゼラチン
ゼラチン、コラーゲン(豚由来)、ペプチド
寒天
海藻(紅藻類)
ちなみにダイソーの粉寒天も原材料は海藻です。
共立食品アガー
ブドウ糖・寒天/ゲル化剤(増粘多糖類)
ちなみに、アガーで有名な富士商事のパールアガーの原材料表記を見ると、
ローストビーンガム・カラギナン・リン酸二水素ナトリウム・食品素材
さらに詳しく
ローストビーンガムは、豆科の種子から得られる多糖類です。カラギナンは海藻から抽出される多糖類です。
となり、多糖類が主であることは同じなのですが含まれている原材料はメーカーが違うと異なる事がわかりました。
上記成分表示の違いの差をまとめると、
- ゼラチンは豚由来の動物性ゼリーの素
- 寒天は海藻由来の植物性ゼリーの素
- アガーは主に海藻から抽出された多糖類を主原料とした植物性ゼリーの素
- 原材料にあまり大差のない寒天やゼラチンに比べて、アガーはメーカーごとに原材料に違いがある
では、実際にお菓子作りに使う際の使い方を、両者の違いを踏まえながら検証していきたいと思います。
ゼラチンと寒天・アガーの違い③【使い方のコツ】
つぎに、3つのパッケージに表示されている使い方と注意点を見てみようと思います!
ゼラチンの使い方
①80℃の液体に粉ゼラチンを加えて溶かす。又は40℃に温めた液体に、お湯に溶かした粉ゼラチンを加え混ぜる。
②型に流し、粗熱を取ってから冷蔵庫で良く冷やし固める。
ゼライスは80℃程度で溶け、10℃~15℃で固まります。
注意ポイント
- 生のパイナップルやキウイ・しょうが等はゼラチンを分解する酵素が含まれている為、固まらない事があります。その場合は加熱したものを使ってください
- 沸騰させると固まりにくくなります。
- ゼラチンで固めたものは常温では溶けます。
寒天の使い方
①水に粉寒天を加え、火にかけ、かき混ぜながら煮溶かす。
②沸騰したら、吹きこぼれない程度の火にして1~2分間沸騰を続けます。
③火を止め、砂糖・牛乳・果汁などで好みの味付けをします。
④型に流して固めます。ゼラチンと違い常温で固まりますが、冷蔵庫で冷やすとよりいっそう美味しくなります。
注意ポイント
酸味の強い食品や果汁と一緒に煮たてると、固まらなくなることがあります。必ず火を止めてから加えて下さい。
追記:レンジでチンして作れるタイプの粉寒天もあります。写真左がレンジ対応タイプ、右が通常の煮詰めて使うタイプです。
共立食品アガーの使い方
①はじめに、小さな容器にアガーと砂糖を入れよく混ぜる。
②鍋に水を入れ、①をダマにならないようによく混ぜながら少しずつ加える。
③中火にかけてよく混ぜながら溶かし、軽く沸騰させて(90~100℃)から火を止めます。
④常温の果汁等を加え、型や容器に流し冷やし固めます。
注意ポイント
- 液体が冷たすぎると固まらない事があります。必ず常温(40℃)にしてから加えてください。
- 酸味の強い果汁などと一緒に煮たたせると固まらない事があります。
- ダマになったまま加えると固まらない事があります。必ず砂糖と合わせてダマのないことを確認し煮溶かしてください。
ヨーグルトや乳酸飲料を加えると、分離したり固まりにくくなる場合があります。
ちなみにパールアガーだと80℃位まで加熱するそうです。
上記を比較すると、液体に溶かして混ぜるという共通点はあっても、全く違う作り方である事がわかりました!
- ゼラチンは液体の熱で溶かして使用する、沸騰させると固まらない。
- 寒天は水に溶けにくい為、しっかり溶かす為に沸騰させて2分前後煮つめてから使用する。
- アガーはダマになりやすいので、砂糖に混ぜて少しずつ液体に溶かし、90~100℃に熱して火を止める。
つまりは、それぞれ溶解温度には差があり、ゼラチンは80℃、寒天やアガーはは80℃~100℃と違いがあります。
これをきちんと理解していないと、冷やしても固まらなかったりと、凝固に影響が出てしまうので注意が必要です。
さらに詳しく
ゼラチンパッケージに表示されている溶かし方ですと、やや溶けにくいなと感じる事もあるので、私的には水でふやかしてから溶かす、というやり方をしています。
水大さじ2にゼラチン1袋(5g)をふり入れてふやかしています。ゼリーにするときは、熱した液体に入れて溶かし、ムースなどに使用する際は沸騰させない様にレンジで10秒程加熱し、ホイップなどに混ぜています。
ゼラチンと寒天・アガーの違い④【凝固温度】
上記写真の様に、ゼラチン液は氷水で冷やしてもなかなか固まりません。
ポイント
冷蔵庫でしっかり2時間程度冷やすと固まります。10℃~15℃で固まりますので、常温では固まりません。
逆に気温の高い夏場だと、常温で溶けてしまう事もあります。
ポイント
反対に、寒天は型に流してしばらく放置すると、常温でもしっかりと固まります。
大体30℃以下で固まるので、氷水に入れて冷やすとすぐに固まります。パパッと作れてすぐに食べられるのが嬉しい点ですね。
アガーも常温で固まりますが、メーカーによって30℃以下で固まるもの、25~15℃以下で固まるものがあります。
【備考】その他の種類
今回は水に溶けやすく使いやすい、粉末タイプで比較しました。ですが、ゼラチン・寒天には粉末以外のタイプがあります。
ゼラチンには板ゼラチン、寒天には棒寒天・糸寒天があります。それぞれ使用する際は、水にふやかしてから使用するのが特徴です。粉末タイプよりは溶けにくい・少量使いしにくいなどのデメリットがありますが、食感が良くなったり、保形性を保ちやすいなどのメリットもあります。
【寒天とゼラチン・アガーの違い⑤】見た目&食感の違い
型抜きゼリーを基本配合で作って見ました。
透明感を比較すると、
寒天は白曇りしている感じ。
ゼラチンは一番透明感があるが、やや黄色味を帯びている感じ。
アガーは透明感があり、かなりクリアな感じです。
固さ・保形性を比較すると
ポイント
- 寒天はダントツの保形性!弾力があって固め
- ゼラチンはかなり柔らかく崩れやすい
- アガーは柔らかいものの、弾力があって保形性もそこそこある
味・食感を比較すると、
寒天はサクっと歯切れの良い食感、食べごたえがあってビミョーに海藻っぽい味わい。
ゼラチンはぷるんっとろんとした口どけの良い滑らかな食感、ゼラチン特有のニオイが個人的には苦手ですが。
アガーはぷるぷるとしたゼリーと寒天とも違った、柔らかいこんにゃくゼリーのような食感。無色無臭でニオイや味に影響していない感じです。
パッと見、アガーはゼラチン寄りかと思うのですが、
型抜きの際にお湯につけなければならないゼラチンとは違い、
寒天のようにナイフを入れるだけで、ポロっとキレイに型抜き出来る性質がアガーゼリーにはあります。
寒天とゼラチン・アガーの違い⑥【おすすめ使用用途】
ゼラチン
溶かす液体の量によってテクスチャーを大きく変化させる事が出来、弾力のある食感からトロトロの食感まで作る事が出来る。又、ムースなどに使用すれば、エアリーな食感にも。
ゼリーやミルクプリン、ムースなどの使用がおススメ。
又、ゼラチンはコラーゲンが含まれているので、紅茶などに入れて美肌目的の使用も◎。
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寒天
ゼラチンゼリーと異なり、包丁でカットしたり、
型で抜いてもその形をしっかりと維持する事が出来ます。
羊羹や杏仁豆腐、寒天ゼリーなどの使用がおススメ。
又、寒天は食物繊維が含まれているので、炊飯時にお米やスープに入れれば、気軽に食物繊維が摂取出来ます。更に寒天は弾力があって食べ応えがあるのにローカロリーなので、ダイエット目的にもおススメです。
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アガー
寒天・ゼラチンの良いトコを集めたようなものがアガー。
ある程度保形性があるので、型抜きしたり持ち運びするゼリーにはアガーを使った方がいいですね。
型抜きゼリーやムースなどの上がけゼリー、水ゼリーなどの使用がおすすめ。
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寒天・ゼラチン・アガーはそれぞれ代用出来る?
結論から言えば、出来ない事もないです。
ポイント
液体を固める、という目的ならその液体量に見合った寒天やアガーを加えればOK。
ただし寒天やゼラチンによって目安となる分量、作り方は異なるので、
レシピと同じ分量を加える
同じ作業工程はNG!
例えば、
羊羹の寒天をゼラチンに変える場合、熱したあんこ液に見合ったゼラチンを加える
など、そのゼリーの素にあった加熱方法に変更する必要があります。
ですが代用すると、
ココに注意
仕上がりの見た目・食感や固さ・舌触りなどに圧倒的に差が出る
ので注意が必要です。特に型抜きゼリーの場合、ゼラチンよりアガーの方が保形性が強いので、ゼラチンで代用した場合には型抜きできずに崩れてしまう、といった場合もあります。
反対にゼラチンを使うムースに、寒天やアガーで代用出来るか?という場合は、
アガーや寒天が常温で固まってしまう性質上
同じ工程・レシピでは難しいですよ!
※ただし、ムース用のアガー(ニューパールアガー16)とかなら代用出来ます。
寒天とゼラチン・アガーのゼリーは冷凍保存出来る?解凍したらどうなる?
と思った方は、こちらを参照して下さいね!
寒天とゼラチン、アガーの違いまとめ
液体に溶かして混ぜて冷やし固める、という共通点があっても、特徴や出来上がりが全く異なるゼラチンと寒天とアガー。正しい使い方を理解すれば、お菓子作りの失敗も防ぐ事が出来、自分の好みの食感を作る事が可能です。
それぞれに際立った美味しさがあるので、ひんやり冷たいデザート作りに使い分けて下さいね。
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